タイには、技能開発促進法(2002年制定)に基づく「技能開発基金(Skill Development Fund)」への拠出制度がある。労働省の技能開発局(DSD)が所管し、従業員100人以上の事業者は、毎年、その50%以上について所定の研修や技能の検定・認証を行えば、基金への拠出が不要になる。1
本稿では、この50%の基準を「半数ルール」と呼ぶ。一定の人数まで育成を進めると、会社から出ていくお金が減る仕組みだ。DSDが2025年度に記録した、この制度に基づく企業研修の人数は約524万人に上った。2
制度と実績をたどると、タイの人材育成の特徴が見えてくる。雇用主を通じて多くの従業員に研修機会をつくり、企業自身に内容を選ばせる力が強い。その先の、専門技能を深める支出や、技能に応じた賃金への支援は、利用の広がりがかなり違う。会社が人を育てると、どの条件で、いくら負担が軽くなるのか。基金の使われ方まで調べると、制度が後押ししている企業の判断を具体的に説明できる。