タイ湾の南部には、タイとマレーシアが海底の権利について主張を重ねながら、天然ガスを生産している場所がある。マレーシア・タイ共同開発区域、通称JDAだ。両国は境界の決着を待つ代わりに、開発を管理する共同機構を設けた。その下で企業が費用を負担してガスを生産し、両国の買い手へ販売する仕組みを整えてきた。12
9月14日、この区域のA-18鉱区を引き継ぐ新しい生産分与契約が発表された。契約期間は2026年初めから35年間。従来の鉱区に隣接する探鉱区域も加わる。タイの石油・ガス開発会社PTTEPと、マレーシアの国営石油会社PETRONASのグループが、既存のガス田を操業しながら次の開発を進めるための契約だ。3
この事業を支えているのは、国同士の利益配分、企業の投資回収、ガスの販売と輸送を、それぞれ契約で結び付けた構造である。ガス田から南部の発電所までをたどると、共同開発が外交上の合意から、日々の燃料供給へ育った経緯が見えてくる。