タイの工場で作られた車や電子機器は、世界へ出ていく。街には店や飲食店が並び、地方には農地が広がる。タイ経済は、海外市場と結び付いた製造業、多くの取引を支えるサービス業、暮らしの基盤となる農業が重なって成り立っている。
この国を理解する手がかりは、それぞれの産業が持つ「大きさ」の違いにある。製造業は国内で生み出す価値の約4分の1を担う。働く人に目を向けると、約半分がサービス業、約3割が農林水産業にいる。大きな工場の動きと、街や農村で暮らす人々の景気がずれる背景には、この仕事の分布がある。1
「タイ経済の見取り図」の初回は、産業の紹介から一歩進み、工場の注文が部品会社の仕事へ、家計の支出が店の売り上げへとつながる道筋をたどる。そこから見えてくるのは、製造業の強さと、工場の外で働く人の多さを併せ持つタイの姿だ。