13日まで、局地的な大雨への警戒が続く。今週は気象局の最新警報と排水対応に加え、バンコクでの国際会議、消費者心理、国内展示会の税制案など、8つの動きをまとめた。
1|12日は南部、13日は中部・東部などでも大雨の予報
情報確認時点:2026年10月11日21:10(タイ時間)
タイ気象局は11日17時の警報で、12日の南部と、13日の北部南側、東北部南側、中部(バンコクと周辺県を含む)、東部、南部で、局地的な大雨から非常に強い雨を予測した。雷雨や突風、落雷にも注意を呼びかけている。
中国から張り出す冷たい空気に、海から流れ込む湿った空気が重なる。南部には雨を降らせる帯状の気圧の谷がかかり、南西季節風も残る。山沿いや低地では、短時間の増水や鉄砲水の危険がある。雷雨のある海域では、波の高さが2メートルを超える予報だ。
すでに川へ流れ込んだ水への対応も続いている。災害対策当局は8日、バンコク東側のプラチンブリ県・チャチューンサオ県を通るバンパコン川などを重点的に監視し、河口付近の排水を急ぐ方針を説明した。9日の政府発表でも、ポンプと水を押し流す機器を使い、冠水した地域から24時間体制で排水するとした。
雨の予報に挙がった地域と、すでに冠水している場所は異なる。移動の際は、気象局の更新と、目的地の自治体が出す道路・河川情報を併せて確認したい。次の気象局警報は12日5時の予定。
出典: タイ気象局「大雨警報・第10号(256/2569)」(10月11日17時)、政府広報局「大雨への備え、バンパコン川の河口排水と24時間の排水対応」(10月9日公表、8日の対策会議も収録。いずれもタイ語)
2|バンコクでIMF・世界銀行年次総会。参加登録は1万5,000人超
国際通貨基金(IMF)と世界銀行グループの年次総会が、12〜18日にバンコクのクイーン・シリキット国際会議場で開かれる。各国の財務相や中央銀行総裁などが、世界経済や開発資金を議論する会議だ。タイ財務省と中央銀行は9日、会場の準備を終えたと発表した。
参加登録は1万5,000人を超え、191カ国の政策担当者、企業関係者、報道関係者などを迎える予定。財務省は、参加者の滞在による宿泊・飲食などの消費を10.5億〜22.5億バーツと見込んでいる。1万5,000人が7〜10日滞在し、1日1万〜1万5,000バーツを使う想定に基づく試算となる。
開催期間中には、タイが投資先として何を打ち出すかも焦点になる。会場では、送金・決済のデジタル基盤、気候への対応、医療・健康産業の展示も用意している。上の消費額は開催前の見込みで、実際の来場者数や消費は会議後に確認することになる。
出典: タイ財務省・タイ中央銀行「年次総会を前に会場準備の完了を発表」(10月9日付、英語。両機関発行のプレスリリース)
3|消費者の信頼感は低下。自営業者や農家で弱さ
商務省の貿易政策・戦略局(TPSO)が9日に発表した9月の消費者信頼感指数は48.9で、8月の49.5から低下した。50が楽観・悲観を分ける基準となる。現在の状況を尋ねた指数は39.3、3カ月先への見方は55.3。先の回復を期待しつつ、足元には厳しさを感じる回答が多い。
職業別では、自営業者が51.3から49.7へ下がり、50を割った。農家は47.0、フリーランスなどの自由業は46.7。一方、公務員は53.7、民間企業の従業員は49.5だった。TPSOは、生活費と家計の借金への不安、燃料価格や世界経済の不確実性が、消費者心理を抑えていると説明した。
地域差もある。バンコクと周辺県は49.2から53.9へ改善したが、北部は47.4、南部は48.0へ低下。全国の平均と、各地域で商売をする人の実感には隔たりがある。
調査は9月4〜25日に全国5,424人を対象に行った。9月末以降の洪水の影響は十分に入っていない。今回の結果は、洪水前から家計と自営業者が抱えていた不安を伝えるものとして読む必要がある。
出典: TPSO「9月の消費者信頼感指数」(10月9日公表、タイ語)
4|国内展示会の出展料を、2倍控除する税制案
政府は6日、国内の展示会・見本市などに出展する企業の費用を、法人税の計算で2倍控除する勅令案を原則承認した。歳入局が7日に内容を公表した。
対象は、出展する法人が払う会場の賃料とサービス費。案では、催しの開始と支払いの両方が、2026年10月6日〜2027年12月31日に入ることを条件としている。実際に出展したことを主催者が証明する書類なども求める。勅令案は、今後の審査・制定手続きへ進む。
「2倍」は、課税対象の利益から差し引く金額を指す。例えば、対象費用10万バーツを払い、税率20%で十分な課税利益がある企業なら、通常の経費算入に加えて税負担が2万バーツ減る計算になる。
タイ会議展示会振興局(TCEB)は、商談の場へ企業が参加しやすくなり、会場や施工、宿泊、飲食などへ取引が広がると期待する。財務省の想定では、利用企業は約3,800社、対象費用は年39.9億バーツ。出展する企業の費用を軽くすることで、展示会の需要を後押しする設計だ。
出典: 歳入局「MICE産業を支援する税制案」(10月7日、タイ語)、TCEB「国内展示会の出展費用を200%控除する案」(10月8日、英語)、歳入局「法人税率20%への恒久的引き下げ」(英語。計算例は編集部作成)
数字で見る|2.522兆バーツ
歳入局が9日に発表した2026年度(2025年10月〜2026年9月)の税収。前年より8.0%増え、予算の見込みも3.1%上回った。タイでは、国の会計年度が10月に始まる。
国内取引から集めた付加価値税は15.0%、輸入にかかる付加価値税は13.1%増えた。付加価値税は商品・サービスの取引にかかる税金で、歳入局は小売・卸売、電力、石油精製などからの徴収増を挙げた。個人所得税も18.0%増え、データ分析を使って納税状況を確認したことが寄与したと説明している。
税収には、取引の量に加え、価格や徴収の取り組みも反映される。歳入局は燃料価格の上昇も増収要因に挙げており、今回の8.0%をそのまま消費の実質的な伸び率として使うことはできない。
出典: 歳入局「2026年度の税収実績」(10月9日、タイ語。原数値は2,522,112百万バーツ、見出しは兆バーツ単位の小数第3位へ丸めた)
そのほかのニュース
9月の株式市場は下落。外国人投資家が263億バーツ売り越し
タイ証券取引所(SET)が8日に公表した9月の市場報告では、SET指数は月末1,559.01で、8月末から2.3%下がった。一方、2025年末との比較では23.8%高い。年初からの上昇の後、9月には値を下げた形だ。
外国人投資家は9月に263.3億バーツを売り越した。1〜9月の合計では、なお248.6億バーツの買い越しを保っている。SETと新興企業向け市場maiを合わせた1日の平均売買代金は701.5億バーツで、前年同月から62.6%増加。売買が活発な中で、月末にかけて売りが強まったとSETは説明する。
出典: SET「9月の市場報告」(10月8日、英語。SET発表の再掲)
ワルシャワとバンコクを結ぶ直行便が就航
ポーランド航空(LOT)のワルシャワ発の初便が8日、スワンナプーム空港へ到着した。同社にとってタイへの初の定期直行便となる。タイ政府観光庁(TAT)は、ポーランドと中欧からの来訪を増やす路線として歓迎した。
10月25日までは週3便、26日以降は2027年3月まで週5便へ増やす予定。冬季はタイ行きの座席を週最大1,260席用意する。TATは旅行業者・報道関係者の視察も支援し、新しい座席を滞在の長い旅行者の誘致につなげようとしている。
出典: TAT「ポーランド航空のワルシャワ―バンコク線就航」(10月8日、英語)
日本で学ぶタイの研究者3チームに、事業化への助言
国家イノベーション庁(NIA)は9日、日本で学ぶタイの学生・研究者が参加した事業提案会について報告した。4日に日本で開かれた研究者交流の場で、ハッカソンの最終候補3チームが成果を発表した。ハッカソンは、限られた期間にチームで開発・提案する催し。
NIAは各チームへ、事業の収益モデル、タイでの会社設立、同庁の支援資金への応募について助言した。研究成果をタイで製品やサービスとして使うために、技術だけでなく事業の進め方も相談する機会となった。発表で確認できるのは提案と助言の段階で、会社設立や資金採択の結果は示されていない。
出典: NIA「Thailand Future Research Leaders Forum 2026での事業化支援」(10月9日公表、開催は10月4日、タイ語)
デジタル資産事業の審査体制について、意見募集
証券取引委員会(SEC)は9日、デジタル資産事業者の役員などの適格性を審査する際、意見を聞く専門家の仕組みを見直す案を公表した。従来の懲戒委員会の規定を改め、SEC事務局内の専門家による意見提供へそろえる内容だ。
事務局が最初の判断を行い、不服申し立てをSECの委員会が審査する役割分担は維持する。専門家が意見を提供する体制を、SECが扱う他の審査とそろえる狙い。意見は16日まで受け付ける。
出典: SEC「デジタル資産事業の懲戒委員会に関する規則案」(10月9日、タイ語)
木曜の「今週の分析」
「出展料を2倍控除」で、タイの展示会は誰にとって安くなるのか
10万バーツの出展料を払ったら、いくら得になるのか。今回の税制案では、会社に課税される利益があるかどうかで、今年の税負担を軽くできる額が変わる。出展のためのお金を先に用意する必要もある。
木曜は、通常の経費算入との違いを図で比べ、黒字企業、税率の低い中小企業、赤字企業でどう利点が異なるかを説明する。海外展示会を支える別の助成制度とも比較し、政府が国内の商談を増やすために、どの費用を支える設計にしたのかを読み解く。
2026年10月15日(木) 07:00(タイ時間)公開予定
公開後、導入は無料でお読みいただけます。全文は月額会員向けです。購読について
